好きって言葉を隠していたのは、傷つくことに慣れていたから。
春の夜、風がまだ冷たくて、駅前の街灯が、ゆらゆら揺れた。
待ち合わせじゃないのに、あなたの姿を探していた。
渡せなかった、小さな手紙、ポケットの中で折れてしまった。
笑う横顔がまぶしくて、目が合っただけで息が止まった。
追いかければ遠ざかる背中、それでも見えなくなるまで見てた。
好きって言葉を隠していたのは、傷つくことに慣れていたから。
空に浮かぶ一つの星に、名前をつけて呼びかけた。
あなただけに届きますように。届かなくても、かまわないから。
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