午後四時、
桜がほろりと、風にほどけるころ。
駅前の歩道橋、
人波のむこうにあなたの横顔。
声をかけようとして、
手にしてた、
折りたたみ傘を握りしめた。
きっと、気づいてた。
あなたの隣には、もう誰かがいること。
あの日、ふたりで笑ったベンチも、
今は知らない。
誰かの思い出に変わるのね。
でも、どうしてだろう。
あなたの名前だけ、まだ耳の奥で呼んでるの。
言えなかったのは、
あなたを困らせたくなかっただけ。
閉じたままの傘のように、
わたしの想いも、しまったまま。
春の終わり、雨は降らなかったけれど。
涙の行き場が、わからなかったの。
あなたも、 伝えられなかった想いがありますか?
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